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《障害者手帳と何が違う?》
「障害者手帳」というのは、①身体障害者手帳、②療育手帳、③精神障害者保健福祉手帳の3種類の総称です。ですので、障害者手帳と違うというより、障害者手帳の中の「療育手帳」という種類だということです。
※根拠法はそれぞれ異なるが、いずれの場合でも「障害者総合支援法」の対象となっている。
《療育手帳はどのような人がもらえる?》
療育手帳は、「知的障害」のある人がもらえる手帳。
《そもそも手帳はなんのためにある?》
一定の障害の状態にあることを認定し、その人に対して各種の支援をできるようにし、自立や社会参加を促進するためにあります。
《療育手帳の根拠となる法律条文は?》
実は、療育手帳の記載がある法律条文はありません。
※知的障害者福祉法という法律があるが、療育手帳についての記載はない。
しかし、https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9476&dataType=1&pageNo=1 厚生労働省が「療育手帳制度要綱」というものを1973年(昭和48年)に公開しました。これが根拠となって制度化されています。
→上記PDFは最初に出された時のもの。
→改正版はコチラ( https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000639205.pdf )。
各自治体によって、判断基準等を定めているので、国全体一律で全く同じように制度運用されているか、と言われればそうではありません。自治体によるばらつきが問題として挙げられることもあります。
ちなみに、東京都や横浜市は療育手帳を「愛の手帳」と呼んでいる。※「愛の手帳」のように別名を併記することについては厚生労働省が許可している→( https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000712219.pdf ) 。他にも、さいたま市は「みどりの手帳」、名古屋市は「愛護手帳」、など。
《判定》
当然、誰にでも手帳を交付できるわけではないので、基準を満たすか判定することとなります。
年齢によって誰が判定するのかが異なります。
→18歳未満は児童相談所
→18歳以上は知的障害者更生相談所
※児童相談所は「児童福祉法」に、知的障害者更生相談所は「知的障害者福祉法」に基づいている。
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[参考]:根拠となる条文や声明等
※厚労省「療育手帳制度について」第5の2「交付の決定及び交付」
(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000639205.pdf)
※児童相談所運営指針の改正について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv-soudanjo-kai-honbun6.html
↓↓
1.特別児童扶養手当に係る判定事務
(1) 対象となる子ども特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和39年法律第134号)第2条第1項の障害児及び同条第2項の重度障害児についての知的障害の認定診断書の作成については、児童相談所も行うことができる。児童相談所の判定の対象となるのは、認定請求を行う者又は都道府県等児童福祉主管課のいずれかから診断書の作成を求められた障害児である。
(2) 判定の実施
ア 特別児童扶養手当認定診断書の作成は、医師が児童心理司等の協力を得て行うことが原則である。また、判定を行うに当たっては、対象となる子どもや保護者等の利便を考慮し、日時、場所等をあらかじめ定め、場合によっては巡回相談の機会を利用する。
イ 判定を行った場合は、援助方針会議等で検討し、速やかに作成した診断書を添付し、児童相談所長名で認定請求者又は都道府県等児童福祉主管課に回答する。また、児童相談所においては、児童記録票を作成する。ウ 知的障害児の場合は、判定後おおむね2年後に再判定を行う。
(3) 判定の基準
ア 知的障害の判定は、平成14年3月28日障発第0328009号「特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第3における障害の認定要領等の一部改正について」中の「障害等級認定基準」「第7節精神の障害」に基づき行う。
イ 判定に当たっては、単に現在の状態及び障害の有無等に着目するに留まらず、医学的な原因、経過、予後の判断をもできるかぎり調査、検討し、また、日常生活能力の判定に当たっては、身体的能力及び精神的能力、特に、知情意面の障害も考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
2.療育手帳に係る判定事務
(1) 療育手帳制度の目的療育手帳制度は、知的障害児(者)に対し一貫した相談・指導を行うとともに、各種の援助措置を受け易くすることにより、知的障害児(者)の福祉の増進を図ることを目的としている。
(2) 判定の実施
ア 療育手帳制度の申請を受けた福祉事務所は、児童相談所又は知的障害者更生相談所を経由して都道府県知事等に進達する。児童相談所又は知的障害者更生相談所は、交付対象者について判定を行い、判定結果を記入の上、都道府県知事等に進達する。進達を受けた都道府県知事等は、児童相談所又は知的障害者更生相談所の判定に基づき交付を決定し、福祉事務所を経由して申請者に交付する。
イ 療育手帳の判定は、原則として医師、児童心理司等のチームにより行い、障害の有無、程度等について援助方針会議等で検討する。場合によっては、その後の援助についても検討する。
ウ 原則として2年後に再判定を行う。
(3) 療育手帳の効用療育手帳の効用は、判定の概要や援助を受けた経過を正確に記録し、事後の援助の参考とするとともに、特別児童扶養手当(重度障害の記載があるものに限る)、心身障害者扶養共済、国税・地方税の控除・減免、公営住宅の優先入居、NHK受信料の免除等の手続上の簡略化が図られることである。
(4) その他療育手帳に係る判定事務については、本指針に定めるほか次の通知による。
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上記で述べた通り、判定基準は各自治体によって異なります。
つまり、障害の程度の「区分」が自治体によって異なるということです。
例) 千葉県の療育手帳制度実施要綱↓
(https://www.pref.chiba.lg.jp/shoufuku/techou/documents/ryouikutechou-youkou.pdf)
◎判定は基本的にAかBの2種類です。
Aは重度で、それ以外は全てBとなります。
※ただ、都道府県によって、より細分化しているところもある。
例) 大阪府→A(重度)・B1(中度)・C3(軽度)
◎この判定は、2年ごとに再判定を行います。
※児童相談所又は知的障害者構成相談所にて。
◎知的障害を明確に定めている法律はありませんが、「おおむね18歳未満の発達期に生じるもの」と厚生労働省が「障害認定基準」で定めています( https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12501000-Nenkinkyoku-Soumuka/0000144223.pdf )。
※そのため、大人になってから事故などで知的に障害が生じたということ等は、基本的に知的障害には該当しない。
◎交付者数(令和3年度末現在)-(令和3年度福祉行政報告例)
総計 1,213,063人
うち重度(A)428,890人、それ以外(B)784,173人
記事の重要団体・人物
厚生労働省
03-5253-1111
この記事について
◎主な時代 :
現代
◎かかる時間(分) :
5
◎難解さ(簡単1 ⇄ 難解5) :
4.5
◎文章量 :
◎最終更新 :
2800〜3200文字
2023年
◎関連人物 :
-
厚生労働省
〜これを読むだけで障害者手帳について詳しくなれる〜