
No.0031 石川瑠菜
居場所プロジェクトPJリーダー
介護が不幸ではなく、幸せを生み出す社会を作る。
ヤングケアラーとは
こんにちは、総合政策学部2年の石川瑠菜です。
突然ですが、みなさんは、「ヤングケアラー」という言葉をご存知でしょうか。
ヤングケアラーとは、本来、大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものことを指します。家族のケアをしなければならず、自分の進学や将来の道を諦めなければならない、そんな子どもが日本には沢山存在します。
大好きだったおじいちゃんが私の名前を忘れていく
私自身も認知症の祖父を介護するヤングケアラーでした。以前までは元気で大好きだったおじいちゃんが孫である自分の名前を忘れてしまったり、介護によって生まれる家族の軋轢を目の前にしている中で、介護の負担はこれほどまで大きいのかと実感しました。
実際、日本では介護殺人や介護心中が後を立ちません。介護には身体的・金銭的・精神的と多方面で負担がかかり、認知症の方を介護していると、暴言を吐かれたり、「自分が介護を担わなければいけない」といった責任や周りからの圧力を感じることも少なくありません。このような精神的負担が積み重なり、介護うつになってしまったり、要介護者への虐待に繋がってしまうことがあります。
政策・法律面だけではケアラーのケアは解決できない
高校生の時からこの問題に興味があった私は、政策・法的な部分からケアラーを助けたいと思い法学部に進学しました。
しかし、法学部に進学後、ケアラーの方とお話しする中で、介護負担によって精神的に苦しんでいる方を目の前にした際に、何も手を差し伸べてあげることができない自分がいました。「大丈夫ですよ」といった声をかけることしかできない自分に苛立ちを感じると同時に、今まで学んできた法律の知識が、私が将来ケアラー支援をする上で本当に必要なのかを見つめ直すようになりました。
その結果、今年度から政策的な研究だけではなく、心理的・精神的なケア等の幅広い学問が学ぶことができる総合政策学部に転部するという決断をしました。
介護によって苦しむことがない社会を作る
この原体験が、その後の活動の原動力となっています。介護施設で実際にボランティアをさせていただき高齢者との正しい関わり方を現場で学んだり、ヤングケアラーの啓発活動、認知症とどのように向き合えばいいのかを発信するイベントを開いてきました。
さらに、実際に介護に向き合っている方々のお話を聞いてきました。そのような活動の過程の中で、気づいたことは多くのケアラーが精神的に苦しみ、日本ではそのような心のケアがなかなか進んでいないのが現状。だからこそ、私はケアラーの心のケアに着目して、介護によって苦しむことのない社会を作り上げたいと考えています。
介護は家族関係を壊すものであってはならない
"私が理想とする介護の在り方とは、被介護者と介護者双方が幸せに過ごすことができるものです。どちらかの幸せが欠如している状態では、理想の介護とは言えません。私は今まで家族と離れ悲しみに暮れる高齢者や、介護を終えた家族が大きな後悔によってもがいている姿を見てきました。介護は誰もが通る道だからこそ、家族関係を壊すものではなく、大切な家族との思い出として残るものであってほしいと願っています。
SFC-IFCでは、居場所づくりやケアラーの精神的ケアをどのように行なっていくのか、このコミュニティにいる仲間の力も借りながら、私の理想とする社会の実現に向けて、挑戦していきたいです。"
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